債務整理と任意整理
1 似ているけれど別物
私が弁護士として千葉で法律相談を受ける際、借金の相談に来られる方で債務整理と任意整理を混同されている方が割といらっしゃいます。
両者は別の概念であり、もっと言えば債務整理の1つが任意整理という関係にあります。
他の債務整理である自己破産や個人再生にも少し触れながら説明します。
2 債務整理とは
債務整理というのは、債務=借金と考えると借金問題の解決方法ということになります。
借金問題の解決方法として、自己破産や個人再生、そして任意整理があります。
自己破産や個人再生というのは法律上の制度として存在しているため、法的整理と呼ばれることもあります。
他方、任意整理は、あくまで貸金業者と交渉(話合い)をして長期の分割支払い、場合によっては利息の軽減又はカットを内容とした和解をするものであり、私的な交渉を経て行われるものとして私的整理と呼ばれることもあります。
したがって、債務整理には主に自己破産、個人再生、任意整理があり、任意整理や他の2つと比べてあくまで交渉により借金問題を解決するものといえます。
3 任意整理の特徴
任意整理は、自己破産や個人再生との共通点として、貸金業者のいわゆるブラックリストに載ることになりますので、任意整理を行って一定期間は貸金業者からの借入やクレジットカードの作成はできなくなります。
他方で、自己破産や個人再生が官報に氏名と住所が掲載されるのに対し、任意整理は官報に氏名と住所が載るということはありません。
これは、任意整理は、あくまで私人間の交渉による解決方法であることが理由です。
また、自己破産や個人再生は貸金業者等の債権者全員に対して債務整理をすることになりますが、任意整理では特定の貸金業者の債務のみを整理することが可能です。
これもやはり任意整理があくまで私人間の交渉によるものであり、交渉の相手も自由に決めることができることが理由です。
4 以上のように債務整理と任意整理は似たような言葉ですが意味は異なります、という話でした。


